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石川県の住宅に多い外壁トラブルとその対策方法

日本海側に位置する石川県は、その特有の気候条件により住宅の外壁が様々な影響を受けやすい地域です。特に能美市をはじめとする石川県南部では、夏の高温多湿と冬の厳しい積雪や季節風にさらされるため、外壁の劣化が進みやすい環境にあります。住宅の外観を美しく保ち、建物の寿命を延ばすためには、地域特有の外壁トラブルを知り、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、石川県の住宅に特に多く見られる外壁トラブルの種類と、それぞれの効果的な対策方法をご紹介します。住宅メンテナンスの参考にしていただき、大切な住まいを長く美しく保つお手伝いができれば幸いです。

石川県の気候と外壁への影響

石川県、特に能美市を含む加賀地方の気候は、外壁材に様々なストレスを与えます。まずは地域の気候特性を理解しましょう。

季節 気候特性 外壁への影響
夏季 高温多湿、強い日差し 塗膜の劣化、色あせ、藻やカビの発生
秋季 台風、強風、長雨 雨漏り、シーリングの劣化
冬季 積雪、強い季節風、凍結と融解の繰り返し 凍害、サイディングのひび割れ、結露
春季 急激な気温変化、黄砂 熱膨張・収縮によるひび割れ、汚れの蓄積

石川県の平均気温は15.3度、年間降水量は約2,000mmを超え、特に能美市では山と海に囲まれた地形の影響で局地的な気象条件が発生しやすくなっています。こうした環境は外壁材に対して過酷であり、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
  

地域別の外壁への影響の違い

石川県内でも地域によって外壁への影響は異なります。能美市では特に以下の地域差が見られます。

地域 特徴 外壁トラブルの傾向
根上町(西部) 日本海に近く、海風の影響大 塩害による腐食、塗膜の劣化が早い
寺井町(中央部) 平野部、日当たり良好 日射による色あせ、熱割れが多い
辰口町(東部) 白山山系に近く、湿度が高い 藻・カビの発生、結露による内部劣化

石川県で多発する外壁トラブル5選

石川県の住宅で特に多く見られる外壁トラブルを、発生頻度の高い順に5つご紹介します。

石川県の住宅外壁トラブルは、日本海側特有の気候条件(多雪、強風、塩害)による影響が大きいことが特徴です。特に能美市では、西部の海岸線に近い地域と東部の山間部では、トラブルの種類や深刻度に違いが見られます。

  

1. 外壁材のひび割れ(クラック)

石川県では冬季の凍結・融解の繰り返しにより、外壁材にひび割れが発生しやすくなっています。特に能美市や加賀地方では、日本海からの強い季節風と寒暖差の影響でモルタル外壁や窯業系サイディングにクラックが生じるケースが多く見られます。

外壁材の種類 ひび割れの特徴 主な原因 リスク
モルタル外壁 網目状のひび割れ 乾燥収縮、地盤沈下 雨水侵入、内部腐食
窯業系サイディング 目地部分のひび割れ 熱膨張・収縮、施工不良 シーリング劣化、雨漏り
ALC板 直線的なひび割れ 構造体の動き、経年劣化 断熱性能低下、雨水侵入

対策方法:

  • 小さなひび割れの場合:弾性フィラーでの補修
  • 広範囲のひび割れ:弾性塗料を使用した塗装
  • 深刻なひび割れ:外壁材の部分交換や全面張り替え

金沢市の築25年のモルタル外壁住宅で多数のクラックが発見され、高耐候性の弾性塗料による塗装と部分的な補修工事が行われたケースがあります。工事後は外観の美しさだけでなく、断熱性能も向上したという報告があります。
  

2. シーリングの劣化

シーリング材は外壁の継ぎ目や開口部周辺の防水に重要な役割を果たしますが、石川県の厳しい気候条件下では劣化が早まります。特に能美市では、夏の強い紫外線と冬の厳しい寒さにより、シーリング材の寿命が短くなる傾向があります。
主な劣化症状:

  • ひび割れ・亀裂
  • 硬化・弾力性の喪失
  • 剥がれ・剥離
  • 変色・チョーキング

対策方法:

  • 定期的なシーリング打ち替え(一般的に7〜10年ごと)
  • 高耐候性シーリング材の使用
  • 適切な施工方法(プライマー処理、適切な充填量など)

小松市の事例では、築15年の住宅で窓周りのシーリングの劣化による雨漏りが発生。プライマー処理を丁寧に行った上で、低温時も柔軟性を保つシリコーン系シーリング材に打ち替えることで、問題が解決しました。
  

3. 塗膜の剥がれと色あせ

石川県、特に日本海に面した地域では、強い紫外線と塩分を含んだ海風により、外壁塗装の劣化が加速します。能美市の西部地域では特に塗膜の剥がれが顕著に見られます。

劣化の種類 症状 主な原因
チョーキング 表面が粉状になる 紫外線による樹脂成分の分解
色あせ 色が褪せる、白っぽくなる 紫外線、酸性雨
塗膜剥離 塗膜が浮き上がり、はがれる 下地との密着不良、湿気
膨れ 塗膜が膨らむ 雨水の侵入、下地の水分

対策方法:

  • 定期的な塗り替え(石川県の気候条件では7〜8年ごと推奨)
  • 高耐候性・高耐久性塗料の選択
  • 適切な下地処理と施工方法
  • 遮熱・断熱塗料の採用(寒暖差対策)

加賀市の事例では、南面の外壁で特に色あせが進行していた住宅に、耐候性に優れたフッ素系塗料を使用。通常のアクリル系塗料と比べて約1.5倍の長期耐久性を実現しました。
  

4. 藻・カビの発生

石川県は降水量が多く湿度も高いため、外壁に藻やカビが発生しやすい環境です。特に能美市の東部地域(辰口町など)では、白山山系からの湿った空気の影響で、藻・カビの発生が多く見られます。
発生しやすい場所:

  • 日陰になる北面の外壁
  • 樹木に近い部分
  • 通気性の悪い場所
  • 雨どい周辺や軒下

対策方法:

  • 防藻・防カビ効果のある塗料の使用
  • 定期的な外壁洗浄(年1回程度)
  • 適切な雨水排水システムの設置
  • 外壁周辺の樹木の剪定(風通しを良くする)

白山市の住宅では、北面の外壁全体に緑色の藻が発生。高圧洗浄による清掃後、防藻・防カビ性能に優れたシリコン系塗料で塗装し、さらに軒下の通気性を改善する工事を実施したことで、再発を防止できています。
  

5. 雨漏りと水分侵入

石川県では秋から冬にかけての台風や冬の積雪により、外壁からの雨漏りや水分侵入が発生しやすくなっています。特に能美市では、日本海からの強い季節風を伴う雨が外壁に打ち付けることで、目地やシーリング部分から水分が侵入するケースが多く報告されています。
水分侵入が起きやすい箇所:

  • 窓周りや開口部
  • 外壁の継ぎ目部分
  • サイディングの目地
  • 外壁と屋根の取り合い部分

対策方法:

  • 防水シートの適切な施工
  • 定期的なシーリングの点検と打ち替え
  • 雨どいや軒樋の清掃・メンテナンス
  • 通気工法の採用(新築・大規模リフォーム時)

能美市の事例では、築18年の住宅で二階の子供部屋の壁に雨染みが発見されました。調査の結果、窓上部のシーリングの劣化と防水紙の破損が原因と判明。シーリングの打ち替えと部分的な防水紙の交換、さらに外壁の一部張り替えを行うことで問題を解決しました。

外壁トラブルの早期発見方法

外壁トラブルを早期に発見することで、大規模な修繕を防ぎ、修繕費用を抑えることができます。石川県の気候を考慮した効果的な点検方法をご紹介します。
大きなひび
  

季節ごとの点検ポイント

季節 点検ポイント 推奨頻度
春(3〜5月) 冬の間に発生したひび割れや凍害、雪による損傷 必須(年1回)
梅雨(6〜7月) 雨漏りの有無、排水状況、雨どいの詰まり 必須(年1回)
夏(7〜9月) 藻・カビの発生、塗膜の色あせや劣化 可能であれば
秋(10〜11月) 台風後の損傷、冬に備えた全体点検 必須(年1回)
冬(12〜2月) 積雪後の変形・たわみ、氷柱による損傷 積雪・解凍後

石川県では特に春(雪解け後)と秋(台風シーズン前後)の点検が重要です。この時期に適切な点検を行うことで、冬の厳しい環境や台風による被害を未然に防ぐことができます。
  

セルフチェックポイント

ご自身でできる外壁のチェックポイントをご紹介します。石川県の住宅所有者は、以下のポイントを定期的にチェックすることをおすすめします。

【注意】高所の確認は危険を伴いますので、無理せず専門家に依頼してください。以下はグラウンドレベルから確認できる項目です。

外観チェック:

  • 外壁の変色や色むら
  • 目視できるひび割れや浮き
  • シーリングの亀裂や剥がれ
  • 窓周りの汚れや水染み
  • 外壁表面の粉状化(チョーキング)

触診チェック:

  • 手の届く範囲での外壁の浮きやもろさ
  • 塗装面のざらつき感
  • サイディングの継ぎ目の緩み

雨天時のチェック:

  • 雨どいからの雨水の流れ
  • 外壁を伝う異常な水の流れ
  • 軒下やベランダの水たまり

内灘町の住宅では、定期的なセルフチェックにより、サイディングの目地部分のシーリング劣化を早期に発見。小規模な補修で済ませることができた事例があります。

石川県の気候に適した外壁材・塗料の選び方

石川県の気候特性を考慮した外壁材や塗料の選び方をご紹介します。能美市をはじめとする石川県内の住宅に適した選択肢について解説します。
  

気候に強い外壁材

外壁材の種類 特徴 石川県での適性 推奨エリア
金属サイディング 軽量、耐久性高、断熱性あり 雪に強い、メンテナンス性良好 能美市東部、白山麓エリア
窯業系サイディング 耐火性高、コスト適性 バランス良好、防水処理が重要 能美市中部、金沢周辺
ガルバリウム鋼板 耐候性・耐久性優れる 塩害・強風に強い 能美市西部、日本海沿岸部
光触媒外壁材 自己洗浄効果、藻・カビ防止 高湿度地域に適する 能美市全域、特に湿度の高い地域

野々市市の事例では、築25年で外壁リフォームを行う際に、従来のモルタル外壁からガルバリウム鋼板に変更。断熱材も強化したことで、冬の結露問題が解消され、外観も現代的になったという報告があります。
  

耐候性の高い塗料選び

石川県の厳しい気候条件下では、塗料の選択も重要なポイントとなります。

塗料の種類 耐用年数 特徴 石川県での適性
フッ素系塗料 15〜20年 最高レベルの耐候性、耐汚染性 日本海沿岸部に最適、高耐久
シリコン系塗料 10〜15年 コスト性能バランス良好 能美市など内陸部に適する
ウレタン系塗料 7〜10年 弾性があり、ひび割れに強い 寒暖の差が大きい地域向き
光触媒塗料 10〜15年 防汚性、抗菌・防カビ性 多湿地域に効果的

七尾市の海岸近くの住宅では、従来のアクリル系塗料から高耐候性のフッ素系塗料に変更し、10年以上色あせや塗膜剥離が見られない結果が得られています。塩害の影響が強い地域では、初期コストが高くても耐久性の高い塗料を選択することがおすすめです。

リフォーム・メンテナンスの季節別最適時期

石川県の気候を考慮した、外壁リフォームやメンテナンスの最適な時期について解説します。

季節 適性 メリット デメリット
春(4〜5月) 温湿度が安定、塗料の乾燥に適している 黄砂の影響がある日は避ける
初夏(6月) 梅雨入り前なら工事に適している 梅雨入り後は湿度が高く塗装に不向き
夏(7〜8月) 乾燥が早い 高温による塗料の粘度変化、作業効率低下
秋(9〜11月) 最も安定した気候、工事の質が高い 台風シーズンを避ける必要あり
冬(12〜3月) × 工事費用が安くなる場合がある 低温で塗料の硬化不良、雪による工期遅延

石川県では、特に秋(9〜11月)と春(4〜5月)が外壁工事に最適です。能美市においても同様ですが、地域によって微気候があるため、地元の業者に相談することをおすすめします。

石川県では冬季の工事は特に注意が必要です。気温が5℃以下になると塗料の性能が発揮されず、仕上がりや耐久性に問題が生じる可能性があります。やむを得ず冬季に工事を行う場合は、防寒対策を施した足場の設置や低温硬化型の塗料を選ぶなどの対策が必要です。

  

工事時期のポイント

金沢・能美エリアのリフォーム適期:

  • 4月中旬〜5月下旬:春の安定期
  • 9月下旬〜11月上旬:秋の安定期

避けるべき時期:

  • 12月〜3月:気温が低く、積雪の影響で工事の質が低下する恐れ
  • 6月中旬〜7月中旬:梅雨による湿度の高さが塗装に影響
  • 8月:猛暑による塗料の硬化不良や作業員の熱中症リスク

外壁材別のメンテナンスポイント

石川県で多く使用されている外壁材別のメンテナンスポイントをご紹介します。
  

サイディング外壁

窯業系サイディングは能美市を含む石川県内の住宅で広く使用されていますが、目地部分のシーリングが劣化しやすい特徴があります。
メンテナンスポイント:

  • 目地シーリングの定期点検(5〜7年ごとに打ち替え推奨)
  • 釘の浮きやサイディング本体のひび割れチェック
  • 汚れは中性洗剤を使用した柔らかいブラシでの清掃
  • 苔・カビは専用の洗浄剤で対応

石川県での注意点:

  • 積雪による荷重で釘が浮き出やすいため、春に点検
  • 海岸部では塩害による腐食が進行しやすいため、防錆処理を
  • 山間部では湿度による藻・カビの発生に注意

  

モルタル外壁

能美市の古い住宅に多いモルタル外壁は、経年とともにひび割れが発生しやすく、石川県の厳しい冬を経る度に劣化が進行します。
メンテナンスポイント:

  • ひび割れの早期発見と補修(放置すると雨水侵入の原因に)
  • 浮きやはがれのチェック(打診調査が効果的)
  • 塗装の再塗装(7〜10年ごと)
  • 大きなクラックは専門業者に依頼

石川県での注意点:

  • 凍結融解の繰り返しでクラックが拡大するため、冬前の補修が重要
  • 地震による揺れでひび割れが発生しやすいため、耐震性も確認
  • 再塗装時は弾性塗料を選択するとクラック防止に効果的

  

金属系外壁

ガルバリウム鋼板などの金属系外壁は、石川県の海岸部や積雪地域で採用されることが増えています。
メンテナンスポイント:

  • 錆・腐食のチェック(特に継ぎ目やビス周り)
  • 表面の汚れは水洗いで対応可
  • 凹みや変形のチェック
  • 表面塗装の状態確認(10〜15年で再塗装を検討)

石川県での注意点:

  • 海岸部では塩害による腐食が早く進行するため、定期的な洗浄が重要
  • 積雪による重みで変形しないよう、雪下ろしを適切に行う
  • 鳥の糞などは酸性成分を含むため、放置せず洗浄を

DIYでできる外壁メンテナンス

専門業者に依頼する前に、ご自身でできる外壁のメンテナンスについてご紹介します。石川県の気候に適した方法をお伝えします。
  

外壁の清掃

準備するもの:

  • ホースまたは高圧洗浄機(レンタル可)
  • 中性洗剤
  • 柔らかいブラシ
  • バケツ
  • 手袋
  • 保護メガネ
  • 脚立(無理のない高さまで)

清掃手順:

  • まず水で全体を湿らせる
  • 中性洗剤を薄めた溶液を塗布
  • 柔らかいブラシで優しくこする
  • 十分な水で洗い流す

石川県の気候に合わせたポイント:

  • 海風の影響を受ける地域は塩分除去のため頻度を上げる(年2回程度)
  • 藻・カビが発生しやすい地域では防カビ洗剤を活用
  • 冬季の清掃は凍結の恐れがあるため避ける

  

簡易的な補修方法

小さなひび割れの補修:

  • ひび割れ部分の清掃と乾燥
  • 弾性フィラーやコーキング材の充填
  • 表面を平らに整える
  • 乾燥後、必要に応じて塗装

シーリングの簡易補修:

  • 劣化したシーリングの除去
  • 接着面の清掃と乾燥
  • マスキングテープで養生
  • シーリング材の充填
  • ヘラで表面を整える

【注意】高所作業は危険を伴うため、無理せず専門家に依頼してください。DIY補修は一時的な措置として考え、定期的な専門点検を怠らないようにしましょう。

まとめ:石川県の住宅外壁を長持ちさせるポイント

石川県の住宅外壁を長期間美しく保つためのポイントをまとめます。能美市をはじめとする地域特性に合わせた対応策を参考にしてください。
定期的な点検とメンテナンス:

  • 春と秋の年2回の点検を基本とする
  • 雪解け後の外壁チェックは必須
  • 台風シーズン前の雨漏り点検が重要

早期発見・早期対応:

  • 小さなひび割れや塗膜の劣化も放置しない
  • 特に雨漏りの兆候は早急に対処
  • 定期的なシーリングのチェックと打ち替え

地域特性に合わせた材料選び:

  • 海岸部:塩害に強いガルバリウム鋼板や高耐候性塗料
  • 山間部:断熱性の高い外壁材
  • 平野部:バランスの良い窯業系サイディング
  • 日当たりの良い南面:遮熱性能の高い塗料や外壁材

石川県の気象条件対策:

  • 冬季の凍結・融解への対応:弾性塗料の活用
  • 強風・降雪への対策:通気工法の採用
  • 藻・カビ対策:防カビ塗料、定期的な洗浄

専門家との連携:

  • 地元の気候に精通した業者への相談
  • 最低10年に一度の外壁全体点検
  • リフォーム時は地域特性を考慮した提案を依頼

石川県の住宅外壁は日本海側特有の厳しい気象条件に日々さらされています。特に能美市では西部の海岸地域と東部の山間部で外壁への影響が異なるため、お住まいの環境に適した対策が重要です。定期的な点検と適切なメンテナンス、そして地域の気候に合った材料選びを行うことで、住宅の美観を保ち、長寿命化を図ることができます。外壁トラブルは早期発見・早期対応が最も効果的かつ経済的な方法であることを心に留めておきましょう。


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